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第4次産業革命のインパクト

2022.09.30

コロナ危機により加速する「第4次産業革命」に全ての企業は対応しなければならない!

ICTの発達により、様々な経済活動等を逐一データ化し、そうしたビッグデータを、インターネット等を通じて集約した上で分析・活用することにより、新たな経済価値が生まれています。
 
また、AIにビッグデータを与えることにより、単なる情報解析だけでなく、複雑な判断を伴
う労働やサービスの機械による提供が可能となるとともに、様々な社会問題等の解決に資することが期待されています。
こうした第4次産業革命の概要や現時点における適応状況等について認識するとともに、現在、政府や専門家の間で議論されている様々な可能性や展望について把握することが重要ではないでしょうか。
 
「第4次産業革命」とは?
 
(第4次産業革命とは)
第4次産業革命とは、18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化である第1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産である第2次産業革命、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化である第3次産業革命に続く、次のようないくつかのコアとなる技術革新を指します。
 
一つ目はIoT及びビッグデータである。
工場の機械の稼働状況から、交通、気象、個人の健康状況まで様々な情報がデータ化され、それらをネットワークでつなげてまとめ、これを解析・利用することで、新たな付加価値が生まれています。
 
二つ目はAIです。
人間がコンピューターに対してあらかじめ分析上注目すべき要素を全て与えなくとも、コンピューター自らが学習し、一定の判断を行うことが可能となっています。加えて、従来のロボット技術も、更に複雑な作業が可能となっているほか、3Dプリンターの発展により、省スペースで複雑な工作物の製造も可能となっています。
 
こうした技術革新により、大量生産・画一的サービス提供から個々にカスタマイズされた生産・サービスの提供、既に存在している資源・資産の効率的な活用、AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替などが可能となります。
 
企業などの生産者側からみれば、これまでの財・サービスの生産・提供の在り方が大きく変化し、生産の効率性が飛躍的に向上する可能性があるほか、消費者側からみれば、既存の財・サービスを今までよりも低価格で好きな時に適量購入できるだけでなく、潜在的に欲していた新しい財・サービスをも享受できることが期待されています。
 
また、諸外国も含め、第4次産業革命の流れとして既に取組が始まっている具体的な事例を整理すると以下のようになります。
 
第一は、財・サービスの生産・提供に際してデータの解析結果を様々な形で活用する動きである。
 
具体的には、製造業者による自社製品の稼働状況データを活用した保守・点検の提供、ネット上での顧客の注文に合わせたカスタマイズ商品の提供、ウェアラブル機器による健康管理、医療分野でのオーダーメイド治療、保安会社による独居老人の見守りサービスの提供などの事例があります。
 
第二は、シェアリング・エコノミーである。
これは、インターネットを通じて、サービスの利用者と提供者を素早くマッチングさせることにより、個人が保有する遊休資産(自動車、住居、衣服等)を他者に対して提供したり、余った時間で役務を提供するサービスである。具体的には、保有する住宅の空き部屋等を活用して宿泊サービスを提供する「民泊サービス」や、一般のドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービス、個人の所有するモノ(衣服等)を利用するサービスや、個人の持つ専門的なスキルを空き時間に提供するサービス、空いている駐車スペースを利用するサービス等、様々なサービスが登場している。
 
第三は、AIやロボットの活用である。
具体的には、AIを使った自動運転の試行実験、AIを活用した資産運用、介護などでのロボットによる補助の活用等の事例があります。
 
第四は、フィンテック(FinTech)の発展です。
フィンテックとは、金融を意味するファイナンス(Finance)と技術を意味するテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語であり、金融庁金融審議会(2015)は、「主に、ITを活用した革新的な金融サービス事業を指す」としています。
具体的には、取引先金融機関やクレジットカードの利用履歴をスマートフォン上で集約するサービスや、個人間で送金や貸借を仲介するサービス、AIによる資産運用サービスのほか、情報をAIで分析して信用度を評価することで、伝統的な銀行では貸出の対象にならないような中小企業や消費者向けに迅速に融資を行うサービスの提供などが可能となっています。
(超スマート社会の実現)
 
こうした第4次産業革命の進展は、生産、販売、消費といった経済活動に加え、健康、医療、公共サービス等の幅広い分野や、人々の働き方、ライフスタイルにも影響を与えると考えられます。
 
超スマート社会では、企業は様々な情報をデータ化して管理することで、生産効率の改善、需要予測の精緻化、取引相手を含むサプライ・チェーンの効率的運用を図ることができることに加え、データの解析を利用した新たなサービスの提供、AIを活用した事務の効率化や新たなサービス提供などが実現できます。
 
また、消費者を取り巻く環境については、個人のニーズに合った財やサービスを必要な時に必要なだけ消費することが可能となり、例えば、シェアリング・サービスの普及により、財や資産を所有せずとも好きな時にレンタルして利用することが可能になります。
 
また、デジタル・エコノミーの進展により、ネット上でのコンテンツ提供が増加しており、好きな時に好きなだけコンテンツを楽しむことができ、その費用については、基本的にはネット配信は限界費用がゼロであるために、アクセス料金は安価ないし無料のものも多くなっている。また、スマート家電等の普及は、電力使用の効率化になります。
 
加えて、フィンテックの普及は、金融のデジタル化による資産運用や決済、融資にかかる手間や費用の削減により、今までそういった金融サービスから排除されていた人々や企業も金融サービスを受けられるようになります。
 
さらに、人々の働き方や仕事への影響については、ICTの活用によるテレワークの更なる普及や、シェアリング・サービスによる個人の役務提供の機会の増加などにより、好きな時に好きな時間だけ働くというスタイルが増加する可能性もあります。
他方、AIやロボットの活用により、労働が機械に代替される事象が一層進む可能性があり、比較的スキルの必要のない一部の製造、販売、サービスなどの仕事に加え、バックオフィス業務などについてAIにより代替される可能性があります。
従来では機械で容易には代替できないとされていた人事管理、資産運用、健康診断などのハイスキルの仕事についても、その一部が代替されるとの指摘もみられます。
 
また、社会全体でみると、高齢者にとっては、第4次産業革命の恩恵は相対的に大きいとみられ、具体的には、ウェアラブルによる健康管理、見守りサービスによる安心の提供、自動運転による配車サービスなど公共交通以外の移動手段の普及などにより、高齢者も活き活きと生活できる環境の整備が進むものと期待されます。
 
政府が2016年1月に決定した「第5期科学技術基本計画」においては、「超スマート社会」、「Society 5.0」を打ち出しています。
少子高齢化が進む我が国において、個人が活き活きと暮らせる豊かな社会を実現するためには、IoTの普及などにみられるシステム化やネットワーク化の取組を、ものづくり分野だけでなく、様々な分野に広げることにより、経済成長や健康長寿社会の形成等につなげ、人々に豊かさをもたらす超スマート社会を実現することが重要な課題です。
(諸外国と我が国における第4次産業革命の進展状況)
 
第4次産業革命の進展状況について、先進諸国と日本の取組を概観してみると、
まず、IoTの普及については、アメリカでは、個人情報を含む情報が民間事業者により積極的に活用されているが、日本では、プライバシー保護に対する不安を背景に個人情報を含むデータの事業者や業界を超えた流通及びその利活用は十分に進んでいません。
 
アンケート調査により企業のIoT導入状況をみても、アメリカは40%を超えているのに対し、日本は20%程度となっているほか、今後の導入意向をみても、アメリカ、ドイツともに80%程度となる一方で、日本は40%程度にとどまっており、今後、諸外国との差が開いてしまう可能性があります。
 
シェアリング・エコノミーは様々な種類のサービスが存在するが、民泊サービスや一般ドライバーの自家用車に乗って目的地まで移動できるサービス、個人の家事等の仕事・労働のシェアサービスなどに対し、日本は他国よりも認知度や利用意向が低い傾向にあり、認知されなければ利用も進まないことから、こうしたシェリング・エコノミーを普及させていくには、まずは認知度を上げていく努力が必要です。
同時に、日本はサービス利用への事故・トラブル等の不安が強いため、安全性・信頼性の確保による利用者の不安解消も重要であると指摘されています。
 
 
[参照サイト]
(内閣府「第4次産業革命のインパクト」)
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